すべての花へそして君へ①

誰が一番イケメンかとか愚問


「『アウト、ちゃんと取ってくるからね』それから『君を、世界で一番の幸せ者にしてあげるから』って」


 こんなこと聞かされて、立っていられる奴がいたら連れて来いや。


「やっば。葵ちゃんマジイケメンじゃん」

「俺も思った。葵はかっこいい」


 へたり込んだオレを、二人して囲むように座り込んでくる。


「だってよ日向」

「だそうだ日向」


 ツンツンと、頭を鋭利なもので突かれている。……多分フォーク。恐らく、二人ともかなりムカついているに違いない。


(そんなことオレに言われても……)


 それに今は、正直相手ができないくらいには……ヤッバい。


「アキ。今の日向を写真に撮っておこう」

「え? なんでだ」

「あとで脅す材料に使える」

「流石は師匠だな……」


 そんなことを思ってたら、トーマがそんなことを言い出して、本当にカメラを起動し始めた。それでも止める気力は殺がれていて、どうしようかと頭の片隅で思っていたら代わりにアキくんが止めてくれた。


「えー。ケチ」

「あとで何倍返しもされていいならすればいい」

「……うん。やめとく。ありがとう」

「うむ」

(アキくん、ありがとう)


 心の中でそう呟くも。……ああああっ! やっばい……!


「日向。食べ過ぎて気持ち悪くなった?」

「大丈夫かー」

「……なんとか」

「(……ここまでなっておいて)」

「(……『なんとか』は、ないだろう)」


 黙りこくっていたら流石に心配された。突っ込みたかったよ? でもね、そんなこともできなかったんですって。二人は二人で、無言になったし。どうせ目で会話とかしてるんでしょ。


「……正直、描かれもしなかったところを拾ってくるあいつが怖い」

「まあ確かにな」

「そうだな」

「正直、……あいつが性格めちゃくちゃイケメンなのも、オレなんかよりもかっこいいことだって知ってる」

「あ。知ってたのか」

「そうか。知ってたんだな」


 知ってる。知ってるに決まってるでしょ……? でも……。


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