すべての花へそして君へ①

「……一つ。聞いてみてもいいですか?」

「ん? なに?」


 何もかもが終わったら、必ず謝ろうと思ってた。あなたが受け取らないんだろうということは、わかっていましたけど。それでも言葉にしておきたかった。んな酷いことをしてきても、自分の幸せを願ってくれた、やさしいあなたには……絶対に。

 だから、それが終わったら聞きたいことがあったんだ。


「正直に言って欲しいんです。あおいさん」

「なんざんしょ? なんでも聞いてくれて構わ――」

「オレにやっぱり惹かれてました?」

「んぞおっ!?!?」


 変な叫び声を上げた彼女は、大きく体を跳ねさせた。
 目は見開き、パクパクと口を開いたり閉じたりしている彼女は……魚か? あ。いや、完全に動揺してるんだよな。多分。


(……こ、れは……)


 正直言って、好きな人を虐める奴の気が知れなかった。どういう神経をしているのかと。……まあ、そういう神経をしていたんだけどな、あの野郎は。そんな野郎のことは、今はどうでもいいから置いておいて。


「あぉあぁ……。あの……。そ、れは……」


 こんな彼女の反応を見てしまっては……。


「内緒にしてあげるんで、教えてくださいよ」

「れ、れんくん。悪い顔してる……」


 あいつの気持ちも、わからなくはないかもしれないなと。


「今、新たな楽しみを見つけたところです」

「そ、れは。……できれば見つけて欲しくはなかったなあ」


 ……ちょっと、思ってしまった。


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