すべての花へそして君へ①

不意打ちを止める訓練って何


「あおいさんの惚気が聞きたいんですー!」

「……え」

「ねえねえ! いつから九条くんが好きだったの? 教えて教えて?」

「え」

「どんなとこが好きなの? というかあおいさんも物好きだよね~。俺だったら、絶対九条くんは好きにはなれないかな~。頭足で踏ん付けられるしー」

「エ」

「あ。でも時々出るデレがいいよね! ほんと、いっつもデレてくれてたらいいのにね~。ていうかあおいさん! お願いだからあの捻くれた性格直してよね! もう足蹴にされたくないからねー」

「ええー……」


 怒濤の質問攻めというか愚痴というかなんというか。でも、アイくんは本気みたいで、目を爛々とさせていた。


(ど、どうしたら……)


 まさかこんな状況になるなんて。というか、そういうことって聞きたがるものなのかな。
 あ。もしかして。アイくんはわたしよりも寧ろ、ヒナタくんの方が――


「いや、あおいさん。それはないよ」

「え。あ。な、なんかすみません……」


 今の状態で彼に真顔で言われると、相当な圧を感じるぜい。


「あ。それと、もしよければなんですけど」

「ん?」

「温室があるみたいなんです。道明寺にはなかったので、よければ見に行きませんか?」

「……はい。喜んで?」


 笑顔で返して、彼と並んで温室へと足を運ぶことに。

 ……どうしても惚気は聞きたいみたいで、頑張って話をしてあげた。今が夜で、彼がライトを消してくれていてよかった。でないと、真っ赤な顔が、バレてしまうから。


< 256 / 422 >

この作品をシェア

pagetop