すべての花へそして君へ①
不意打ちを止める訓練って何
「あおいさんの惚気が聞きたいんですー!」
「……え」
「ねえねえ! いつから九条くんが好きだったの? 教えて教えて?」
「え」
「どんなとこが好きなの? というかあおいさんも物好きだよね~。俺だったら、絶対九条くんは好きにはなれないかな~。頭足で踏ん付けられるしー」
「エ」
「あ。でも時々出るデレがいいよね! ほんと、いっつもデレてくれてたらいいのにね~。ていうかあおいさん! お願いだからあの捻くれた性格直してよね! もう足蹴にされたくないからねー」
「ええー……」
怒濤の質問攻めというか愚痴というかなんというか。でも、アイくんは本気みたいで、目を爛々とさせていた。
(ど、どうしたら……)
まさかこんな状況になるなんて。というか、そういうことって聞きたがるものなのかな。
あ。もしかして。アイくんはわたしよりも寧ろ、ヒナタくんの方が――
「いや、あおいさん。それはないよ」
「え。あ。な、なんかすみません……」
今の状態で彼に真顔で言われると、相当な圧を感じるぜい。
「あ。それと、もしよければなんですけど」
「ん?」
「温室があるみたいなんです。道明寺にはなかったので、よければ見に行きませんか?」
「……はい。喜んで?」
笑顔で返して、彼と並んで温室へと足を運ぶことに。
……どうしても惚気は聞きたいみたいで、頑張って話をしてあげた。今が夜で、彼がライトを消してくれていてよかった。でないと、真っ赤な顔が、バレてしまうから。