すべての花へそして君へ①
4-10
――好きだったのに。
好きだったのに。
すき……だったのにっ。
……っ。大好きだったのにっ。
本当の気持ちを隠して
大好きな人から離れる道を選んだ。
後悔? ううん。それはしてなかった。
だって、それで彼が守れる。
それが、あの時できた選択だったんだから。
でも。それはあの時、その選択を選んだ瞬間だけの話だ。
すぐに、彼のそばを離れたことを後悔した。
彼から話を聞いて、たとえロザリオを渡したとしても……。
……そんなの、ただの自己満足じゃん。
一緒にいたかった。
ずっとずっと。隣で笑っていたかった。
やさしいやさしいあなたを。そばで、ずっと。
でも、そんなあたしを進めてくれたから。
他の誰でもない、……あなたが。
――だから、あたしは進むんだ。
今度はあたしが、あなたを進ませてあげるんだから。