すべての花へそして君へ①
それから、足の裏はもういいのか、今度はふくらはぎへと手が移動したけれど。
「ひっ、ひなたくん……?」
君は、どこまで触る気だい??
「いけるとこまで」
……その限界は、一体誰が決めるんだい?
「オレ」
――即答ですか。
「嘘嘘。冗談だって」
「わたしはあなたを疑っております」
「え。また疑われてるし。何もしてないのに」
「今までのことがありますので」
じっと見つめていると、彼は何がおかしかったのか小さく笑う。
「ほんとほんと。触りたいけどお仕置きでも何でもないし。だから、あおいが嫌がるようなことはしないよ?」
にっこり。効果音が付きそうなほど口角を上げながら、彼はスッとわたしとベッドの間へ手を差し込んできた。
「ひやっ!!」
「だから……まあ、ここはいいんだよね?」
「だ、ダメって言っても触るんでしょ?!」
「本当に嫌ならやめるよ?」
「……えっと」
答えに悩んだ。いや、もう悩んでる時点で彼にはバレバレなんだろうけど……。
「正直殴られるか蹴られるか覚悟してたけど。……そうされなくて、結構オレ、嬉しかったりする」
さすさす……って。満面の笑みでお尻触らないで。
返す言葉が見つからなかったわたしは、恥ずかしくて彼と反対方向に体を曲げた。
「ん? もっと触って欲しい?」
「なんでそうなる!?」
「じゃあ、オレがもっと触りたいから触る」
「っ!? やっ」
今度は太ももを撫でられた。しかも、外側もだけど内側も。ゾクゾクと震える体に、声が出そうになるのを耐えた。
ヒナタくんじゃなければ、痴漢で逮捕できる。というか多分、ヒナタくんじゃなかったらここまで触らせてないと思う。……甘いな、わたし。
「あれだけバカみたいに強いから、もっと筋肉ムキムキなのかと思った」
「むにむに……」って言いながらお肉抓まないでっ。
「お腹も。てっきりシックスパックかと」
「ひゃっ!? ちょっとひなたくんどこ捲ってるのっ!」
「レプリカのユニフォーム?」
「いや。間違いではないけどさ……」
お尻を撫でていた手はそのまま流れるように服の裾を捲った。お腹が……。無駄なお肉がああ……。