すべての花へそして君へ①

甘えん坊な彼のお気に入り?


「足ちっちゃ。あおい、何センチ?」

「え? 足は……ひゃっ。くすぐったい!」

「それで? 何センチ?」

「23.5!!」

「ちっちゃ」


 あれから、本当に本気で死にかけていたわたしに彼が気付いて。それでもわたしはまだしたくて、首に抱きついてたんだけど……。
『救急車は呼びたくないから、またしようね』と、嬉しそうに頬を緩めながら最後に触れるだけのキスをしてくれた。……警察さんは、呼ぶんだねって。ちょびっと思った。


「身長何センチだっけ」

「え? うーん。春に測った時は154だったけど……」

「ちっちゃ」

「……すみませんね。ちっちゃいんです。寝る子は育つけど、夜はモミジさん活動してたんで」

「あ。そうやってモミジのせいにするんだ」

「一つの可能性を挙げただけですうー」


 そして現在、何故か知らないけどヒナタくんによる体検査が始まった。というのは冗談で、ただ触りたいだけらしい。


「ねえ、あおい。覚えてる?」

「な、なにを?」


 この出だしは大抵よくないことが起こる。
 ビビッと危険を察知したけど、時既に遅し。


『次会ったら、絶対一番にハナちゃん擽るから』


 完全に片足にホールドを決められ――


「こちょこちょこちょー」

「うひゃっ!? ちょっ、やめ、やめっ。あはははー!!!!」


 逃げられないまま、思う存分足の裏を擽られた▼


「へえ。足の裏弱いんだ」


 ニヤリと笑った彼が、次に視線を向けたのは間違いなく脇。


「絶対やったらアカン」

「自分はオレの脇擽ったくせに」

「多分ヒナタくんがぶっ飛ぶ」

「……うん。それはアカンね」


 そんなふざけた会話をしながら、ヒナタくんは足の指の間に指を突っ込んだり、爪を見てまた「ちっちゃ」って言ったりしてた。


(そんなにちっちゃいかな……)


 女の子って、こんなもんじゃないのかな。そんな、マジマジと人の足とか見たことないからわかんないけど。


「いろいろ小っちゃいのに、どうしてこうも、いろいろ強いのかね」

「……あは。それはまあ、持って生まれた何とやら?」

「ミズカさんの影響もあるでしょ。絶対」


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