すべての花へそして君へ①

(ここまでが絶対【第1章】だったって!)


 ご期待に添えず申し訳ありません。まだわたくし、あおいのターンです。
 確かにあのあと、小さな一歩を踏み出しました。ええ。わたしは。


「ちょっ、ヒナタくん! 全体重掛けてるでしょ!」

「オレくらい持ち運べないでどうするの」

「運んでいいなら運びますけど」

「ダメー。男としてのプライドがあるからー」

「……これはいいのか」

「うん。ベストポジション~」

「いや首! 首絞まってるから!!!!」

「首が鍛えられていいじゃん」

「ラグビー選手でもないのに、首なんか鍛えても意味ないでしょ!?」


 後ろから抱きつくように、肩(さっき一瞬首だった)に腕を掛けているヒナタくんは、全体重をわたしに預けてきております。
 おかげで本当に小っちゃい一歩しか踏み出せないけどね? ヒナタくんは、一歩すら踏み出してないけどね??


(頼りにしてるって、まさかこういうことだったとは)


 もっと、なんか違うものを想像していたけど。取り敢えず、主従関係的なこともあるってことは念頭に置いておこう。


(まあ、なんでこんなことになっているかというと、ですよ)


 ズルくてかっこいいヒナタくんに、わたしも何か仕返し……とまではいかないでも、ちょっとお返しをしてやろうと思いまして。『オレも一緒』って。ずっと言ってくれてたから、それもわたしは言いたいと思いまして。そしてやらせていただきまして……。

 彼がしてくれたように。恥ずかしくて顔から火が出そうだったけど、わたしから指を絡ませて。
 彼がそうしてくれた時、わたしに『好き』って言っていたのかまではわからないけど……そうだと嬉しかったから、そんな意味も込めて。合ってたら、ちゃんと伝わってるからね、って意味も込めて。

 そうしたら、わたしと繋いでいない方の腕で顔を隠しながら『オレも』ってまた返してくれたから。全部全部伝わったかなって。それがすごく嬉しくてにやけてしまったんだけど。

 ――問題はそのあとだ。


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