サヨナラじゃない
と、そこでたまたま他の先生と居合わせた。
暗い赤の髪の、猫背の先生だ。
「お?見たことない生徒だな。もしや…、神奈木か?」
え、こっわ、この先生。
なんで私の名前しってるん?
「あらら、あなた、残念だったわね。このバカな教師が担任みたいよ」
春夏先生は、バカを少し強調して言う。
「春風先生、バカって酷いですよ。仮にも教師です」
「仮でしょ?」
この会話、どちらも真面目に話しているのがとても怖い。
「あ、あの…!はい、神奈木千影です…」
この怖すぎる会話が聞きたくなくなり、猫背の先生に対して、先程の質問を返す。
「おぉ、そうか。じゃあ神奈木、俺が担任の凪屋(なぎや)だ。よろしくなぁ!」
「よろしくする必要はないわよ〜」
「ちょっと、春風先生、」
あ、アハハ…。
春夏先生って、凪屋先生に対して辛辣だなぁ…?
凪屋先生は少ししょげた様子。
「か、神奈木ぃ…〜。行くぞー」
言葉に覇気がない凪屋先生を、心の中で慰めながら教室へ向かった。
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