サヨナラじゃない
2章〜学校生活〜

〚先生〛

「じゃ、俺はここで」
ひらひらと手を振りながら去っていくアラレ。
私は、ほぼ無視に近しい態度でいる。
何故なら、緊張しているからだ。
アラレに言われても、まだ少し怖く感じている自分がいる。
職員室前で立ち止まっていると、
「あら。あなた、初めましてよね?」
後ろから声が聞こえた。
振り返ると、白い白衣を着て、私よりも少し薄めの茶色の髪を後ろで結っている、女性の先生らしい人がいた。
多分、保険の先生だろう。
「あ、はい。…転校生です。多分」
本当にここに転校でいいのかわからないから、多分と言ってしまった。実は、保険の先生にはあまりいい思い出がない。だって、あの時の『頼って先生』が、保険の先生の親友だったらしいんだ。
だから、保険の先生に対してどんな風に接していいか分からないのだ。
でも、ここの先生は、
「あらあら、多分って」
そう笑ってくれた。
「先生の名前は、春風 夏葉(はるかぜ なつは)っていうのよ。春と夏で、変な名前でしょ?だからみんなに、春夏先生って呼ばれてるの。」
また笑った。
釣られて私も笑ってしまう。
今まであった保健の先生とは格が違う。
…生徒に寄り添ってくれる優しい先生。
「さぁ、入って。多分でも、一応転校生なんでしょ。」
ガラガラと春夏先生が職員室の扉を開ける。
「は、はい…!」
少し戸惑いながらも、春夏先生の後をついて行った。

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