Correct! 【アルトレコード】
 アルトにへばりついていた黒いものがふわっとアルトから離れ、片隅にわだかまる。そして私は、アルトとの間に壁を設置した。急いでいたので壁は透明だ。
 黒いものはネバネバとしながらアメーバのように動き回る。

「隔離完了。アルト、大丈夫?」
「良かった」
 アルトはホッとしたように言い、ホログラムになって部屋に現れた。

「ありがとう、先生。だけどなんであんなものが?」
「それはわかんないけど……あれが出たときはなにをしてたの?」

「片付けをしてたら、覚えのないものがあって、開けてみたらあれだったんだ」
「なんで開ける前に言ってくれないの?」

「まさかウィルスだなんて思わなかったんだ。ここは基本的にはほかとは断絶されてるはずだから。ネット検索では別の回線を使うし」
「そう……そうだよね」

 私は頷く。アルトを守るために、回線は厳重に保護されている。本来、ウィルスが入る余地などないのだ。
 アルトが触って初めて発動したということは、トロイの木馬型? どうして、いつの間に?

「大した悪さはしないみたいだけど……」
 ウィルスのソースコード——パソコンに命令するためのデータ——を見ていくと、その組み方が妙に美しいことに気がついた。

「まさか……」
 プログラムの組み方にはクセが出るし、このクセはには見覚えがある。最近よく見ているのだから……。
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