Correct! 【アルトレコード】
 私の胸がぐっと熱くなる。
 正直、北斗さんの今回のこの優しさはわかりづらいやり方だ。だけど、それほど私を心配してくれる人がいる。そんな人のいるところで働けるなんて、すごくありがたい。

「北斗さん、人間じゃないみたいです」
「え!?」
 私の言葉に、北斗さんがびっくりして声を上げる。

「北斗さん、まるで神です」
 感動する私に、北斗さんは苦笑いを見せた。
「そこまで言われるとは思わなかったな」

「前の職場では、そんな優しくしてくれる人がいなくて。ひとりでやらなくちゃって……それが大人として当たり前だと思ってました」
「自分でできることをやるのは当然だけどね。どうして人間が集団で生活してるのか。それはひとりではできないことがあるからだよ。原始時代から、人は協力しあって生きてきたんだ。だから、君はもっと人に頼りなさい」

 ひとりでやるのが大人だと思っていた。
 だけど、同じことをアルトにもさっき指摘されたばかりだ。
 ああ、それにしても今回の北斗さんの優しさ、わかりづらい……。君ならできる、なんて言われたら、ひとりでやらなきゃって思うじゃない。

「ありがとうございます。うまくできるかはわかりませんが、頑張ります」
 私の返事に、北斗さんは苦笑した。

「わかってくれたなら良かったよ。俺も相談しやすい上司になれるように頑張るね。なにしろ、君が初めての部下だから、俺もときどき指導がわからなくなるんだ」
「北斗さんが……そうなんですか」
 なんでも完璧にできそうな北斗さんが、意外だ。
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