Correct! 【アルトレコード】
 古くてレガシーコード化しているのは、誰もさわりたくないから、若い私にお鉢がまわってくることが多かった。ただでさえ他人のコードはいじりづらいっていうのに、壊したくないからじっくり調べてたら「早くしろ、グズ!」って上司に罵られてつらかった。
 AIを作るためのAIなんてものもあるにはあったけど、新製品は高いし、すぐに時代遅れになっちゃう。更新は有料だし、だから私たちにいろんな仕事が投げられた。

 そんな状況だから、誰にも頼れなくてひとりで頑張ろうと必死に仕事をしてきた。
 ああ、もう、嫌なこと思い出しちゃった。
 私は自分で両頬を軽く叩いて、自分の気をひきしめた。



 ワクチンプログラムは数日で構築できた。
 これは早い。異常に早い。普通は早くて数カ月、かかるときには数年かかる。
 北斗さんが簡単だと言っていただけのことはある……ということでいいのだろうか。

 だけど、不安になる。本当にこれで合っているのだろうか。
 作っている間は別の疑問もあった。
 この研究所への入所試験を受ける際、面接ではペットAIを作りたいと希望を伝えた。アルトに会うまでは、実際にその部署に配属される予定だった。

 なのに今、どうしてウィルスと戦ってるんだろう。なぜ?
 とはいえ、完成したのだ。早くインストールして、あのウィルスを消さないと。

「アルト、ワクチンソフトができたよ」
「本当か!? ありがとう、先生!」
 課題をやっていたアルトは、顔をぱあっと輝かせた。

「あいつは気持ち悪いだけで何もしないってわかってても、やっぱ嫌でさ。先生、ありがとな!」
「うん。待たせてごめんね」
 私はワクチンソフトをインストールして起動する。
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