すべての花へそして君へ②

 鳥のさえずりに顔を上げれば、そこには青い青い空が大きく広がっていた。
 ……そうだ。いつか、ここへまた、みんなで来よう。そんな過去も、笑って話せるようになったときに。


「カナタさんの気持ちも、わからないでもないな」

「え……?」


 いつの間にか少し離れていたらしい彼は、ジャリジャリと砂を鳴らしてゆっくりと近づいてくる。


「と、いうと?」

「ほんと、一枚の絵みたいになってたから」

「ん?」


 見せてもらったカメラには、木を、鳥を、その向こうに広がる蒼穹を見上げる、一人の少女の写真。


「……わ。ヒナタくんやっぱり上手」

「被写体がいいからね」

「珍しいこと言うもんだね。折り畳み傘あったかな」

「これ以上ないほど、だからね」


 そんな冗談も軽く流され。ふと感じた視線に、見上げればぶつかる、真っ直ぐな瞳。


「あおい」

「は、い」

「好きだよ」

「あ、ありが、とう……」


 そして強く熱い想いがストレートに、胸の奥にまで届いてくる。


「ひ、ヒナタくん最近サービス精神旺盛じゃない……?」

「そう? まさか、パンツもサービスだと思われていたとは。さすがだね」

「いやいや、それは単に意地悪でしょ」

「先にしたのはそっちでしょ」


 全くもってその通りですけどね。可愛いあなたがいけないんですからね? 可愛いは罪ですよ? わかってます??
 ジーッと訴えかけるように見上げれば、「それで? 嫌なの?」と彼はコツンとおでこを突いてくる。……嫌? いや、嫌というわけではない。


「……あおい?」


 口に出してしまえば、『そんなわけないでしょ』って否定をしてくれるだろうか。このモヤモヤしたものがスッキリするだろうか。


「…………」


 でも、また前みたいに苦しめてしまったら? 困らせてしまったら? ……もし“それ”が、現実になってしまったら――……?


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