すべての花へそして君へ②
┌                  ┐

      信じて待ってます
     【 九条日向 様 】


└                  ┘


「……こ、れ……」

「いいよ。開けて」

「えっ……?」


「ほら、早く」と。今にもこぼれ出してしまいそうなわたしの目元の涙を拭い、彼は近くのベンチへ座ってその隣をぽんぽんと叩く。


「持って、来たの……?」


 わざわざ? と、そんな言葉は隠して。彼の隣へ、そっと腰を下ろしながら。


「そ。ちゃんとオレはわかってましたよーって。わかりましたよーって証拠」

「……信じてないと思ったの? 教えてくれたこと」

「そうじゃない。ただオレが見つけたって証拠見せたかっただけ。自慢したかっただけ」

「ははっ。……なんだそれ」


 これは、わたしが生徒会のみんなに宛てた手紙。囚われたわたしが、みんなに救いを求めた希望だ。



「『元気ですか? わたしは元気にしてますよ』」

「わわ。暗記するまで熟読されてるんですか」

「まあね。オレなんかにあんたから手紙が来るなんてこと、最初で最後だろうと思ったし」

「もう。寂しいこと言わないで」


 彼が暗記までしてしまったわたしの手紙。そこにはみんなへの感謝と、それからみんなの小さい頃の写真を一旦返すねってこと。その他諸々のふざけた文章と、浮き出た望んでいない結婚式へ招待する、おバカなわたしのSOS。


【 You're My Sunshine 】


 そして、その手紙と一緒に入れていた、この花畑に咲くわたしの花――大好きな向日葵の写真。それに書き加えたメッセージ。さすがに、昔来たときに撮ったものではなかったけれど……。


「……信じて、待ってたんだ」


 あのときと同じように、本当に少ない情報だけで。彼はここに連れてきてくれた。この……写真だけで。


「ま。どうせネットから引っ張ってきてプリントアウトしたんでしょ? 全く同じのあったからすぐにここってわかったよ」

「ちょっと。夢のない発言はやめて」

「だって本当だし」

「もうっ」


 そんな相変わらずな彼に小さくため息をこぼしつつ、便箋と写真を封筒に戻し、それをそっと撫でる。


「……大事にとっててくれて、ありがとう」


 嬉しさでまた滲みそうになる視界をぐっと堪えて、その手紙を返そうとすると。


「まあそれは、この本命準備のための小道具に過ぎないけどね」

「えっ?」


 ――――瞬間。視界がふわっと。真っ白な世界に包み込まれた。そして、ゆっくり。ゆっくりと何かが空から降り注がれる。
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