すべての花へそして君へ②



 ……花びらだ。それが、ひらひら。……ひらひらと、まるで羽根の生えた妖精のように、わたしの視界を楽しそうに舞っている。


「……はい。惚けてるところ悪いけど手出して」


 彼は、お得意の手品でも使ったのだろうか。そして。いつの間にそんなもの、用意していたんだろうか。


「はい。1歳の誕生日おめでとう」

「いっ、……1歳から、なの……?」

「英単語帳には負けるけどね」

「……ううん。そんなこと、ない」


 ……ありがとう。
 受け取ったのは、一本の向日葵。
 2歳、3歳、4歳……彼はひとつひとつを祝ってくれた。一本一本、丁寧に手渡してくれた。
 重みを増すたび、胸が苦しくなる。……嬉しさで苦しくなるなんてこと、生まれて初めてだ。


「……はい。これで最後。18歳の誕生日おめでとう、あおい」


 彼はそれと一緒に、目元にやさしく口付けを置いていく。腕の中は大好きな花でいっぱいになった。


「……しょっぱ」


 こんなことをされて、泣かずにいろって言う方が無理に決まってる。涙腺完全崩壊。彼が拭いても拭いても流れてくる壊れた涙腺は、しばらく修復できそうにない。
 絶え間なく流れるそれに。18本の向日葵の花束をぎゅっと抱きしめるわたしに。彼は「しょうがないなあ」とほんの少しだけ呆れ声。


「っ、ひなた、ぐん」

「18歳、おめでとう」

「こ、こんなにいっぱいもらって……わ。わたし、死ぬのかな」

「死ぬわけないでしょ。……死なせるわけ、ないでしょ」


 そんな涙ごと、花束ごと、包み込むように抱きしめてくれる彼の腕の中は、花とお日さまのにおいでいっぱいだった。


「わたし、すっごいしあわせものだっ」

「オレも。……あおいに出会えてすごい幸せ者だよ」


 これが、わたしの嬉しさと幸せと、それからたくさんの愛のにおいだ。


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