すべての花へそして君へ②

 それから、彼が頭をずっと撫でてくれていたおかげで、崩壊した涙腺がだいぶ修復し始めた頃。


「実はもう一個あるんだけど……」


 彼はガサゴソ鞄の中を漁り始める。わたし、こんなにたくさんもらってるけど、お返しどうしようかな。


「ん? ああ、あおいでいいよ。ていうかあおいがいい」


 適当な感じで、真っ昼間からそんなこと言わないで。さすがにどういう意味かもうわかるよ、わたしでも。


「……と。あったあった。って、え? どうしたの。真っ赤じゃん、顔」

「誰のせいだと思ってるのっ」


 ごめんごめんとおかしそうに笑う彼は、また一つ、わたしに包みを渡してくる。


「開けてみて?」


「もしかしたら、それが今までで一番嬉しいプレゼントかも知れないよ」と。決してそんなことはないだろうし、こういうのって気持ちだから、まず比べることはしないけど……。


「わあっ!!!!」


 箱を開いた瞬間。いや、【ALBUM】と書かれた本を開いた瞬間。彼の言った意味がよくよくわかった。


「かっ、かわいい……」

「あんたが一旦返却した写真と、+α入ってると思うよ」

「こ、これもヒナタくんが……?」

「そう……と、言いたいとこだけど、全員かな? キサとユズが主体になってやってくれたよ」


「オレは録画とかで忙しかったからね」と、どうしてか彼は悔しそうだ。その横顔がちょっと可愛い。
 アルバムに載せられた写真の横には、このときはこうだったああだったっていう、色画用紙に書かれたみんなのコメントが一緒に添えてあった。こういうのはとっても女の子っぽい。
 わーい。また宝物がひとつ増えたっ。


「以上になりますが、満足していただけましたか?」

「だいっ、まんっ、ぞくっ、ですっ!!」


 両手いっぱいの花とプレゼント。一生分もらった気分だっ。


「……そっか」


 けれど、どこか寂しそうに。眉尻をわずかに下げて彼は笑う。そんな彼の頬へ、そっと唇を寄せた。


「っ、え。な、なに……?」

「寂しそうな顔してたらちゅーすることにする」

「な、なんで……?」

「一瞬でも考えてたこと忘れるでしょう?」

「……あなたもしかして、今朝方のこと覚えてます?」

「え? なんのこと?」

「覚えてないんならいい」

「??」


 な、何をしたんだろうか、わたし……。でも、ああは言ったけど、考え事を忘れる……というよりは、わたしがそんな顔を見たくないという思いの方が強いんだ。


「……確かに嬉しいけど、それだとして欲しくなる度そんな顔になりそう」

「なって欲しくないんだよ?」

「わかってるわかってる」

「ほんとかなあ……」


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