すべての花へそして君へ②
❀ ❀ ❀
これでまた一つ、友達100人の道に一歩近付くことができたかと思うと、新たに加わった〈名前〉に、しばらくにやけ顔が止まらなかった。まだまだ道のりは長いけど。
「そんなに楽しかったのか、親睦会は」
「それはもう! 見て見て先生! 友達が増えたんですよ!」
そうしてスマホの画面を運転中の彼に見せると、一瞬驚いた表情をしたものの、「そりゃよかった」と、嬉しそうな顔になる。
あのあと高校の方に戻って待っていると、まさかのわたしを迎えはキク先生だったのだ。
『あー……だいぶ遅れたけど、家庭訪問すんぞー』
……え? 今から? このタイミングで??
と、正直耳を疑ったけれど、首根っこを掴んだかと思うと、彼は放り投げるようにわたしを車に乗せた。
『あっ、葵さん……!』
『あ、タカト! ……は、今度さん付けで呼んだら、タカトゥ⤴︎って呼んじゃうからな』
『えっ』
『んじゃまたね!』
『ええっ!?』
言い逃げになってしまったけれど、ひとまずそれだけ言えれば十分かな。
また、話したいことがあれば会えばいい。連絡を取ればいい。だって、わたしたちはもっとラフな関係でいていいんだから。
「いっちょ前に浮気か」
「んなわけないでしょっ」
道すがらそんな会話をしながら気付いたのは、行き先が花咲ではなく朝日向だということ。さすがに車で片道二時間は遠いもんね……。
「家庭訪問って何するんですか?」
「家庭を訪問する」
「そのまんまだし」
「読んで字の如く」
いえいえ、そんな回答を求めているのではなく。もっとこう具体的な……『お宅のお子さんはー』とか、『今学期の成績の伸びがー』とか、そんな感じのが欲しいんですけど。
「それじゃ、まあ進路相談くらいしとくか」
「あ、先生見てー。あんなところにエンペラーペンギンが」
「いるわけねえだろ。どんだけ動揺してんだ」
だって、まだ人に言えるほどきちんと固まってないんですもん。親にだって、まだ言えてないのに。
車が信号待ちで止まると、彼は眼鏡の上から見たこともないくらい鋭い双眸で、わたしを睨むように見つめてくる。
「これからやりたいことはこれから決めりゃいい。オレが言ってるのは――」
これでまた一つ、友達100人の道に一歩近付くことができたかと思うと、新たに加わった〈名前〉に、しばらくにやけ顔が止まらなかった。まだまだ道のりは長いけど。
「そんなに楽しかったのか、親睦会は」
「それはもう! 見て見て先生! 友達が増えたんですよ!」
そうしてスマホの画面を運転中の彼に見せると、一瞬驚いた表情をしたものの、「そりゃよかった」と、嬉しそうな顔になる。
あのあと高校の方に戻って待っていると、まさかのわたしを迎えはキク先生だったのだ。
『あー……だいぶ遅れたけど、家庭訪問すんぞー』
……え? 今から? このタイミングで??
と、正直耳を疑ったけれど、首根っこを掴んだかと思うと、彼は放り投げるようにわたしを車に乗せた。
『あっ、葵さん……!』
『あ、タカト! ……は、今度さん付けで呼んだら、タカトゥ⤴︎って呼んじゃうからな』
『えっ』
『んじゃまたね!』
『ええっ!?』
言い逃げになってしまったけれど、ひとまずそれだけ言えれば十分かな。
また、話したいことがあれば会えばいい。連絡を取ればいい。だって、わたしたちはもっとラフな関係でいていいんだから。
「いっちょ前に浮気か」
「んなわけないでしょっ」
道すがらそんな会話をしながら気付いたのは、行き先が花咲ではなく朝日向だということ。さすがに車で片道二時間は遠いもんね……。
「家庭訪問って何するんですか?」
「家庭を訪問する」
「そのまんまだし」
「読んで字の如く」
いえいえ、そんな回答を求めているのではなく。もっとこう具体的な……『お宅のお子さんはー』とか、『今学期の成績の伸びがー』とか、そんな感じのが欲しいんですけど。
「それじゃ、まあ進路相談くらいしとくか」
「あ、先生見てー。あんなところにエンペラーペンギンが」
「いるわけねえだろ。どんだけ動揺してんだ」
だって、まだ人に言えるほどきちんと固まってないんですもん。親にだって、まだ言えてないのに。
車が信号待ちで止まると、彼は眼鏡の上から見たこともないくらい鋭い双眸で、わたしを睨むように見つめてくる。
「これからやりたいことはこれから決めりゃいい。オレが言ってるのは――」