すべての花へそして君へ②
戦いの火蓋が切られる
「ちょっとアキ! ここはお兄さんの俺に、譲ってくれてもいいんじゃない? ていうか! さっきまで一緒だったんでしょ!? 譲って!!」
「関係ない。そして今だけは信人って呼ぶ」
「アキっ!? なんで?! お兄ちゃまと呼んでくれっ!」
「呼んだことないから無理だ」
「……っ、絶対に譲らないってことだね」
「その通り。シン兄には負けない」
「……普通にシン兄って言ってるけど」
「あ」
「隙ありっ!」
シントの払い腰が見事に決まり、“アキラくんvsシント”の対決は勝者シントで幕を閉じた……のだけど。
なんでこんなことになっているのか。事の始まりは、女将さんの優しい気遣いがきっかけだった。