すべての花へそして君へ②

『出店……ですか?』

『はい。なので宜しければ』


 大部屋でお腹を空かせたみんなとご飯を食べているときに、無事にモミジさんが見つかったことを報告。またみんなで会いに行こうと話をしたあと、話題は観光話に。
 わたしが全然観光ができていないことを、キサちゃんやユズちゃんが気にしてくれたのだ。わたしは、花咲から近いし、また観光しに来るよと言ったのだけど。


『創業から今年でちょうど百年目になりまして。それを地区の方たちが、この夏の間だけなのですが出店を出してお祝いしてくださっているんです』


 観光地だけれど、結構夜遅くまで、ちょっとしたお祭りみたいなことをしているらしい。
 これはいい時に来たねと。是非行かせてもらいますと。お膳を下げに来てくれた女将さんに女子組は丁寧にお礼をしていた。
 ……それで振り返ったら。なんか知らないけど、男性陣のバトルが始まっていたのだ。


「いやいや。そもそもなんでこんなことしてるの……?」

「あれだってー。あんたとお祭りまわりたいんだってー」

「え。……あのさ。ヒナタくんは何してるの」

「ん? みんなのおバカな様子を動画に収めておこうと思って」


『ここが僕のポジションです』と言わんばかりに、部屋の隅っこの方へと移動しスマホを構え、彼は撮影係の仕事を全うされておりました。


「シントさんとアキくんの対決は、シントさんの勝利か。さて。次に行ってみよー」

「あなたは行かないんですね……」

「え。だってこっちにいる方が楽しいでしょ?」

「それには同感だけど、わたしとしてはちょっと疑問に思う点があるよ?」

「え? なに? ……あ。ちょっと待ってね。また面白そうな対決はじめたから」

「はいはい。頑張ってオモシロ動画撮ってくださいね」


 取り敢えず、危険を察知したキク先生とカエデさんとカオルくんは、ヒナタくんと同じように部屋の隅っこへ非難。大部屋の四つ角は、彼らでいつの間にか埋まっている。そして、キク先生の横へはキサちゃんが。カエデさんの横にはユズちゃんが、いつの間にか非難をしていた。
 わたしもヒナタくんの隣に引っ付いてちょこんと座り、成り行きを見守ることに。次に撮影係さんが撮影しはじめたのは……。


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