すべての花へそして君へ②

 そして最後! これぞ見物の最終決戦!! 拮抗状態が続いておりますよ!!


「「…………」」


 ザ・本気▼


「うおおお……。ヤバい。ヤバいよ、ヒナタくん。近寄れないよ」

「うん。あれはヤバいね。絶対今までで一番いい絵が撮れる」

「それはそれでみんなに反感買われると思うけど……」

「いやでもさ、あの二人の本気対決は、きっと読者様の誰もが見たかったと思うよ」

「そうだね。わたしも見たかった。ちゃんと録画ボタン押しててね?」

「大丈夫。バッチリ」


 大部屋の中央で行われていたのは、皆さんお待ちかね、オウリくんvsアカネくんの本気対決。今はまだ、お互いの様子を見ている模様。二人とも、組まずに腰を低く構えている。


「それでは実況はひなた、解説をあおいさんでお送りしたいと思います」

「おっと。なんかいきなり指名が来ました。どうも、あおいです」

「あおいさん。如何ですか。二人の対決は」

「そうですね。手に汗握る思いです」

「そうですか。それで? 如何ですか、二人の対決は」

「そうですね。首のタオルを握り締めたくなりますね」

「そうですか。首にタオル掛かってませんが。如何ですか、二人の対決は」

「そうですね。片手にスルメが欲しいなと思ってます」

「よくわかりませんが、いつの間に持っていらっしゃったんですか、スルメ」

「空から降ってきました」

「そうですか。あなた解説するつもりありますか」

「ものすごくありますが、解説って言っても、未だに二人は動く様子がなかったので、ちょっと遊んでました、すみません」


 ぺこりと謝ると、隣からはふっと笑いが漏れる。
 横目で彼の方を見れば、同じように彼もこちらを向いていて。すっと目を細め、“素直でよろしい”と音なく笑う。……いちいちかっこいいことせんでくれっ。


「それでは実況のオレから。二人は未だに動く気配はありません。お互いの間合いを一定に保ちつつ、少しずつ左右へと足を動かしていますね」

「は、はいっ。そうですね……! なので、本当にこれはどちらかの集中力が切れたら負け、といったところでしょうか」

「なるほどなるほど。……それで? 解説のあおいさんは、勝利の行方はどうなると予想されておられますか?」

「そうですね……。こればかりは何とも。ただ、どちらに転んだとしても、勝負は一瞬で決まるか、引き分けのどちらかでしょう」

「ほう? それはどうして?」

「力の強さはほぼ互角であろうと思います。それでいて二人とも強い。ずっと永遠に勝負は続かないので、この状態のままか、どちらかが集中力を切らし、その隙を見て一瞬で一本を取るか……」

「ふむ。なるほどなるほど。――おーっと! ここで何やら動きがあるようですよ!」

「……!? あ、あれは、……まさかっ!!」


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