ためらい・亀裂・そして恋
4話
【シーン】 路地裏
コマ割りイメージ: 蒼太にキスされた後、ハッとした表情で息をのむ雪。
雪(モノローグ) (え、今キスして…?)
雪、すぐに蒼太を突き飛ばすように離れ、顔を真っ赤にして叫ぶ。
雪 「にすんの!最低!」
蒼太、雪の反応を見て、ニヤリと笑う。その表情には、どこか挑戦的な色が浮かぶ。
蒼太 「だってお前俺と仲良くしたいんだろ?この歳になって男女の仲なしに仲良しこよしなんてできるわけねえだろ。」
雪(怒りで震えながら) 「…いい加減にしてよ!この最低バカ男!」
雪、蒼太に背を向け、泣きながら走り去る。
コマ割りイメージ: 走り去る雪の後ろ姿を、蒼太が苦々しい表情で見つめている。彼の顔には後悔のような影が差す。
蒼太(小さく、悔しそうに) 「…くそ…!」
【シーン】 雪の部屋・翌日
コマ割りイメージ: ベッドに雪は顔をうずめて寝転がっている。部屋は薄暗い。
雪(モノローグ) (ファーストキスだったのに…!最低。なんであんな人になっちゃったわけ…)
コマ割りイメージ: げっそりとした顔で、目をうつろにさせている雪の顔のアップ。
雪(モノローグ) (結局、蒼太とはまた疎遠になりそう…もうやだ…わけわかんない)

【シーン】 大学の廊下
コマ割りイメージ: 雪が一人、廊下を歩いていると、みやこが元気よく声をかけながら駆け寄ってくる。
みやこ(満面の笑顔で) 「あ、いたいた雪ちゃーん!!」
雪(少し驚きつつ、笑顔で) 「みやこちゃん!どしたの!」
みやこ(雪の手を握り、満面の笑みで) 「あの、昨日のお礼まだ言っていなくて、本当に私嬉しかった!!あの場で助けてくれて!!雪ちゃん本当にかっこいい。」
雪の目からにほのかな光が入る
雪(モノローグ) (嫌なこともあったけど…初めての友達…!嬉しい)
雪 「…あでももう私サークルいけないや。みんな見てたし、あの男子とも仲悪くなっちゃったし。それに…」
雪(モノローグ、蒼太のことを思い浮かべる) (蒼太とも話にくいし…)
みやこ(雪の言葉を遮るように、瞳を輝かせながら) 「あ、うんそれなんだけど、私も行かないことにした!なんか皆モンモン好きそうじゃないし。それでね、提案があるんだけど、新しいサークル作ろうと思うの!モンモンの!」
雪(驚きと希望の表情で) 「え、ほんと?みやこちゃんいるなら入りたい!でもメンバーは?二人?」
みやこ(自信満々に、人差し指を立てて) 「ううん、もう集めてる。最初は四人いないと申請できなくて。一人は...おーい!」(遠くに手を振る)
コマ割りイメージ: みやこが物陰に声をかけると、控えめな雰囲気の男子学生が出てくる。
智樹(少しおどおどしながら) 「あ、初めまして…。野田 智樹です…。」
雪(優しく) 「こちらこそ…!影井雪です。」
みやこ(智樹の背中をポンと叩きながら) 「野田っちも元々モンモンサークルだったんだよ〜」
雪(驚きながら) 「そうだったんだ!人多すぎてわかんなかった!」
智樹(苦笑いしながら) 「僕、影薄いっすよね…。」
雪(少し焦った様子で)「あ、ごめんごめん。そんなことないない!」
コマ割りイメージ: 智樹が雪の優しさにキュンとしたような表情。
みやこ 「雪ちゃんがでてっちゃった後、意気投合してさ〜」
雪 「そうなんだ、あ、そしたら昨日のあれ見てたよね…ごめんね驚かせちゃって」
智樹(少し顔を赤らめながら) 「いや、雪さんはかっこよかったと思う…。」
雪(智樹を見て、感謝の気持ちがこみ上げる) 「ありがとう。」
智樹と雪(軽く「雪でいいよ」「じゃあ雪ちゃんで...」と言う会話をする)
みやこ(さらに弾んだ声で) 「はいはーい!で、もう一人なんだけど!」
コマ割りイメージ: コツコツ…と、硬質な足音が響く。雪は歩いてくるシルエットをみてまさか、という表情で音のする方を見る。
雪(モノローグ) (え、まさか…)
みやこ(満面の笑顔で) 「蒼太くんでーす!」
コマ割りイメージ: 雪が蒼太の登場に、信じられないという表情で固まっている。蒼太は涼しい顔をしている。
雪(絶叫に近い声で) 「ちょ、ちょっとなんで蒼太が入ってんの!?」
蒼太(肩をすくめて) 「みやこちゃんに誘われたんだよ。」
雪(みやこに詰め寄る) 「え、なんでこんなやつ誘ったの!?」
みやこ(不思議そうに、首を傾げながら) 「あれ?てっきり仲良しなのかと思ったんだけど。昨日も一緒に出てったし。自己紹介で蒼太くんモンモン好きって言ってたから誘ったらすんなりOKだった。」
蒼太(フッと笑い) 「そりゃあOKよ。俺モンモン好きだし。」
雪(心の中で、諦めと複雑な感情が入り混じる) (まじか…もう関わらないと思ってたのに。それに蒼太は昨日のこと全然気にしてない。そっか…蒼太にとっては普段からたくさんの女の子にああいうことしてんだもんね…)
コマ割りイメージ: みやこが自信満々に、テスト用紙を差し出す。
みやこ(気合の入った顔で) 「とにかく!最初はこの四人でスタート!入部テスト用意してあるから、蒼太くん目当ての女たちは簡単に入れないようにしました〜。」
雪、テスト用紙を受け取り、内容を見て驚く。
雪(思わず声が出る) 「むっず…」
智樹(雪の隣から覗き込み) 「むずかしいね…。俺でも解けないかも。」
みやこ(得意げに、胸を張って) 「名前は『モンモン愛好会』。モンモンサークルと名前かぶっちゃダメだからさ〜。一応ざっくり予定決めたからみんな見て〜」
コマ割りイメージ:白い紙に、手書き予定が書かれている。
『予定★ 目標:東京大会 優勝 活動日:毎週月・水 その他:合宿とか、映画とか色々〜     またテキトーにきめよ』

コマ割りイメージ: 予定表を見て驚く雪と智樹。
雪(目を丸くして) 「え!大会出るの!」
みやこ(自信たっぷりに、フッと笑う) 「あったりまえよ〜みやこ、一応個人戦じゃ、関東2位なんだから。」
雪、智樹、蒼太の三人が、驚きで固まる。
一同(驚き) 「え、、、」
雪(興奮して) 「もしかして、あの『MYA』(プレイヤー名)!?」
蒼太(目を輝かせ、素の反応で) 「まじ!スッゲー!」
雪(蒼太に同意するように) 「まじですごくない!?この前の春のモンモン王者決定戦めちゃめちゃアツかった!」
蒼太(昔を懐かしむように) 「それな!昔俺らがよく使ってた弱小モンスターのシラスッチで使ってた…」
雪(食い気味に) 「そうそう…」
コマ割りイメージ: モンモンの話で盛り上がっていた雪と蒼太が、ハッと我に返ったように互いを見つめ合う。二人の間に一瞬、懐かしさと気まずさが混じる。
雪・蒼太 (…て ハッ)
みやこ(二人の様子を見て、ニヤニヤしながら) 「なになに〜息ぴったりじゃん。」
智樹(少し戸惑ったように、雪と蒼太を見る) 「昔って、やっぱり知り合い…?」
雪(曖昧に、視線を逸らしながら) 「まあ、そんなとこ…。」
雪(モノローグ) (今、少しだけ昔の蒼太だった気がした。)
蒼太、雪から視線を外し、表情を少し曇らせる。
蒼太 「…」

コマ割りイメージ: みやこが時計を見て、慌てたような表情を見せる。
みやこ(焦ったように) 「やば、事務局閉まっちゃう。私、サークルの申請書出してくる〜。野田っちも一応きて!」
みやこが智樹を促し、二人は足早に去っていく。
みやこ(振り返りざま、雪たちに声をかける) 「じゃあまた連絡する!また話聞かせてね〜!」
コマ割りイメージ: 雪が蒼太の方を向く。二人きりになったことで、再び少しの緊張感が漂う。
雪(意を決したように) 「蒼太…!あの。」

コマ割りイメージ: 雪の言葉に、蒼太が少し微笑む。穏やかな空気。
蒼太(雪の言葉を遮るように、安心する声で) 「よかったじゃん。」
雪(戸惑って) 「え?」
蒼太(穏やかな口調で) 「ちゃんと、『モンモン』できて。」
雪(少し驚きつつも、素直な気持ちで) 「うん、蒼太はいいの?前のサークルじゃなくて。」
蒼太(移動しようと背を向けてサラリと) 「ん?俺兼部。両方テキトーにやるわ。」
雪(蒼太の言葉を聞いて、複雑な表情になる) 「そうなんだ…。」
コマ割りイメージ: 蒼太に背を向けられ、少し寂しそうにしている雪。
雪(モノローグ) (女遊びがすごくて変わってしまった蒼太。でも時々昔みたいに戻る…。さっきだって本当にあの頃みたいだった…。)
蒼太(雪に背を向けたまま、無関心を装うように) 「じゃ、俺行くわ。」
雪(小さく) 「うん、また…あ!」
雪は慌てて、バッグからメモとペンを取り出し、何かを書き始める。
蒼太(振り返る) 「何してんの?」

コマ割りイメージ: 雪が、書いたメモを蒼太に差し出す。
雪(まっすぐ蒼太の目を見て) 「これ!私のフレンドコード…!また、バトルしよう!」
コマ割りイメージ: 蒼太が差し出されたメモを見て、ちょっとだけ照れたような、しかし驚きに満ちた表情をする。彼の表情には、クールな仮面が剥がれた一瞬の素顔が垣間見える。
蒼太(メモを受け取り、照れ隠しのようにぶっきらぼうに) 「…貰っとく。じゃあな。」
蒼太は背を向け、去っていく。
雪(モノローグ) (よかった。蒼太が何を考えているのかわからないけど…また話せた。)
コマ割りイメージ: 蒼太の背中を見送りながら、雪が窓から顔を出し空を見上げ、希望に満ちた笑顔を浮かべる。
雪(モノローグ) (モンモン愛好会。楽しくなりそう…!)
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