誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
しばらくして、経理部長に呼び出された。

「今回、桐生部長の接待交際費がちょっと多いな。しかも、謎の支出が続いてる。」

“謎”って。

どうせ女性との甘い夜にでも使ってるんでしょ、と心の中で呟く。

「そこでだ。君に、直接確認を取ってほしい。」

え……まさか、私に?

「わ、私がですか?」

思わず声が裏返る。

どうして、一介の経理社員の私が、あの“桐生部長”に?

しかも、また顔を合わせなきゃいけないなんて。

「今度、主任になるんだろ。」

部長は書類から目を離さず、あっさりと告げた。

「……はい。」

それは確かに、春から内定している話だったけど。

「それくらい、できないと。」

プレッシャー混じりの静かな声が、私の肩にのしかかる。
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