誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「いえ……スーツも素敵ですけど、そういう姿も……いいなぁって。」

その瞬間、彼はすっと近づいてきて、私の腰に手を回した。

そして、ふわりと抱き寄せる。

「紗英も……俺のものって感じで、いい。」

その低く甘い声と、耳元で囁かれる響きに、心臓が跳ねた。

彼の胸に頬が触れると、優しくて、どこか懐かしいような匂いがした。

柔らかい香りに、私の呼吸が浅くなっていく。

「……ドキドキします。」

ぽつりと、素直に言った。

すると彼は少し離れて、悪戯っぽく微笑んだ。

「じゃあ、離れよう。」

「えっ?」

戸惑う私を見て、彼はもっと深く笑った。

「冗談。……でも、ドキドキしてるって顔、すごく可愛い。」

そのまま、もう一度私を抱き寄せる。

「俺も、すごくドキドキしてる。紗英のこと、ずっとこうしたかった。」

その声が、心の奥にまで響いた。

鼓動の音が重なっていく――まるで、二人だけのリズムを刻むように。
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