誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
隼人さんが、少し照れくさそうに笑う。

「見えてました。」

私も、どこか恥ずかしさを隠せずに、目を逸らす。

でも、隼人さんの横顔は真剣だった。

「嘘じゃないから。本気の相手が、紗英だってこと。」

その言葉に、心がきゅっと音を立てて鳴った。

「……私も、そうだって思ってました。」

自然と、二人の手がそっと触れ合った。握るでもなく、重ねるでもなく。

けれど、そのぬくもりだけで充分だった。

「美香さん、泣かなかったですね。」

私がぽつりと呟くと、彼は少しだけ視線を伏せた。

「そういう奴なんだよ、美香は。最後まで強がる。でも……ちゃんとわかってたと思う。」

そう言って、優しく微笑んだ隼人さんの横顔を、私はしばらく見つめた。

「……今夜は、何か食材買って、家で食べようか。」

「はい。」

ああ、“家”って言った。彼の家。私たちの時間の場所。

一緒に帰って、一緒に夕食を作って、また……隼人さんの隣で眠る。

そんな未来が、確かにそこにあると思えた。
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