誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
私は、胸が締めつけられるような思いで、隼人さんを見つめた。

「でも……紗英と出会って、少しずつ考えが変わった。こんな俺でも、誰かを大切に思っていいんじゃないかって。」

その時の彼の目には、確かに温もりがあった。

心の奥底にしまい込んでいた想いを、ようやく誰かに伝えられたような、そんな顔だった。

「……隼人さん。」

私は静かに彼の肩にもたれた。

過去を全部癒やすことはできないかもしれない。

でも、これからは――彼の未来の中に、私がいてもいいのなら。

彼の心に、そっと寄り添いたいと思った。


リビングの写真立ての前で、隼人さんは静かに立ち尽くしていた。

写真の中には、小さな隼人さんと、その隣に立つ少し年上の少年――きっと、お兄さんなのだろう。

私は何も言わず、そっと彼の隣に立つ。
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