誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「昔、少しだけだけど、保育ボランティアとかもやってたんだよな。まあ……理由があってだけど。」

照れくさそうに笑う彼の横顔が、いつもよりずっと柔らかく見えた。

マンションの扉が閉まると同時に、隼人さんがじーっと私の顔を見てきた。

「……なに?」

思わず笑って問いかけると、彼は少しだけ首をかしげて、ふっと柔らかく笑った。

「いや、紗英の小さい頃ってどんなだったのかなって思って。」

「普通の子どもでしたよ。」

「でも、普通って、いちばん想像つかない。」

からかわれてるわけじゃないと分かっていたけれど、なんだかくすぐったい気持ちになる。

「じゃあ、それを知りたいんでしょ。」

私は少し迷ってから、スマホを取り出した。
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