誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
静かな足音。けれどその言葉は、鋭く私の胸を刺す。

「そんなことしてたら――桐生部長の本命、篠原さんだってバレますよ。」

「え……?」

私は反射的に振り返った。

マグを持つ手が、わずかに震える。

「何を……知ってるんですか?」

美羽さんは私の視線を受け止めながら、微笑を浮かべた。

まるで、ずっと前から知っていたような顔で。

「だから、桐生部長の本命が――篠原さんだってこと。」

「な、なんで……そんなの……」

声がうわずる。思考が追いつかない。

どうして?どうして彼女がそれを……?

「何で知ってるんですか!?」

私の問いかけに対して、美羽さんはゆっくりとお茶を注ぎ始める。

その仕草は、あまりにも落ち着いていた。

「……今でも、桐生部長と交流あるので。」
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