誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
――図星だった。

「……まぁ、少しは。」

私が曖昧に笑うと、美羽さんはさらに距離を詰めてきた。

「そろそろ飽きてる頃かもしれないわよ。男って、そういう生き物だから。」

「……隼人さんは、そんな人じゃないです。」

言い切ったはずの声が、なぜか少し震えていた。

「ふふ……強がり?」

美羽さんはコーヒーを持ったまま、優雅に踵を返す。

「気をつけてね。あなたみたいなタイプって、案外捨てられやすいんだから。」

カップの中のコーヒーがわずかに揺れた。

私の心も、少しだけ、同じように揺れていた。

それでも週末だけは、一緒にいるようにしていた。

平日はなかなか会えない日々が続いたけど、こうして彼のそばにいられるだけで、私は安心できた。

「ねえ、隼人さん。映画、見に行かない?」
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