誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
そう言って振り向いたとき、ソファーに座る隼人さんはすでに目を閉じていた。

柔らかい毛布のような午後の日差しに包まれながら、静かにうとうとしている。

「……ん? なに?」

かすかに目を開けたけど、すぐにまた閉じる。

「ううん、なんでもないよ。」

私はそっと微笑んで、リビングを後にした。

ベッドルームからタオルケットを一枚持ってきて、彼の上に優しくかけてあげる。

「お疲れさま、隼人さん。」

そう囁いた声は、彼には届いたのだろうか。

寝息は穏やかで、少し口元に笑みが浮かんでいるように見えた。

こんな顔、仕事中の彼からは想像できない。

眉間にしわを寄せて資料を睨む顔。

部下に的確な指示を出しながら、プレッシャーと戦っている背中。

その全部を私は知ってる。
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