誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
そして翌日、一条さんが私を居酒屋に連れて行ってくれた。

「今日は飲んで。」

「はい。」

「飲んで、あんな奴なんて忘れて。」

桐生部長のことを「あんな奴」って言う一条さんの口調が少し可笑しくて、私は思わず笑ってしまった。

「で。」

一条さんが私の隣に体を寄せて、顔を近づけてきた。

「今日は、いっぱいエッチしよう。」

「ふふふ……」

大胆すぎる言葉に頬が熱くなるけど、なぜか不安にはならない。

この人は、ちゃんと私を見てくれている――そう思えるから。

「私のこと、本当に好き?」

「うん、好きだよ。今さら他の誰かになんて渡す気ない。」

きっぱりと言い切る彼の横顔に、胸がきゅっとなった。

「ずっとこうして飲みたかった。」

そう言って微笑んだ一条さんは、まっすぐに私の目を見つめてくる。

「紗英は、俺の憧れだったんだよ。」
< 262 / 291 >

この作品をシェア

pagetop