誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
ドキッとした。

じゃあ……今までの、あの“謎の支出”は全部、本当に仕事の接待だったということ?

「どうして貰わないんですか?」

自分でも、なぜ聞いたのか分からない。

「それだけのお金は、稼いでるから。」

さらりと返されたその言葉に、また胸がざわめく。

なんでだろう。

ただの雑談なのに、こんなにドキドキする。

「……みんなに奢るなんて、大変ですね。」

少しだけ皮肉っぽく言ってみた。

でも、彼の返事は想像以上だった。

「特別な人だけだよ。」

また、心臓が跳ねた。

それが“社交辞令”でも“軽口”でも、どうしても無視できなかった。

私、今——この人に、揺れてる?

そう気づいた瞬間、自分自身の鼓動がやけにうるさく感じられた。
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