誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「部長と……デートしてるの?」

「え、ええと……」

言葉を濁す私に、一条さんはため息混じりに言った。

「泣かされるって、わかってて?」

私は何も言えなかった。

「他の女性もそうだよ。桐生部長に惹かれて、でも最後にはみんな泣いてる。」

その言葉が、胸に深く刺さった。

「何で泣かされるってわかってて、近づくんだか。」

それでも私は答えられなかった。

だって、私だってそう思ってる。

わかってるはずなのに、それでも、近づいてしまった。

黙って営業部を出ると、心の奥がざわざわと波立つ。

わたしは……泣く未来を選ぼうとしているの?

それとも、今度こそ違うって、信じたいだけ?

自分でも、もうよくわからなかった。
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