誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「確か……有名なCMに出てた子でしょ? 会社の近くのレストランで見かけたって、誰かが言ってた。」

「へぇ、そうなんですか。」

私の声は、自分でも驚くほど冷静だったけれど、胸の奥では何かがざわめいていた。

桐生部長は、口元に笑みを浮かべたまま、言った。

「そうだったかもな。でも、モデルとは合わなかったよ。」

「え? なんでですか?」

上林さんが驚く。

「綺麗すぎて、現実味がなかった。見てる分にはいいけど、隣にいても落ち着かなかったな。」

そう言った彼の視線が、ほんの少しだけ、私に向けられている気がした。

胸の鼓動がまた早くなる。

「でも、付き合ってたんですよね。」

思わず口に出してしまったその一言に、自分でも驚いた。

胸の奥が、ズキッと痛んだ。

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