誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
桐生部長は一瞬、視線を私から外して、グラスの氷をくるくると回した。

「……そうだったかな。」

「また桐生部長。そうやって、はぐらかすのが女泣かせの所以なんですよ。」

上林さんが楽しそうに茶化す。

「続かなかったからさ。」

彼は静かにそう言った。その横顔は、少しだけ寂しげに見えた。

「でも付き合ってたってことは、その時は本命だったってことですよね?」

上林さんは容赦ない。

酔っているのか、本気なのか、ぐいぐい攻める。

「相手に付き合ってって言われてね。」

そう言った時の部長の声は、なんだか遠くを見ているようだった。

「きゃあ!モデルに告白されるなんて!ほんとにドラマみたい!」

上林さんは手を叩いてはしゃいでいる。

だけど私は、笑えなかった。
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