誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
腕に絡みついたまま、上目遣いで懇願するように見つめる瑞樹ちゃん。

その姿は確かに可愛い。

スタイルもよくて、華やかで、桐生部長と並んでも絵になる。

――そんな人を、部長が断る理由なんてある?

胸の奥がぎゅっと締めつけられる。

だけど――

「瑞樹ちゃん。」

桐生部長が、柔らかく、しかし明確に言った。

「今日はダメなんだ。」

「え……」

瑞樹ちゃんの顔が一瞬、驚きと困惑に染まる。

「どうして? 私、部長のこと――」

「ごめん。」

その言葉は、思っていたよりもはっきりしていた。

「俺、今夜は“別の人”に会う約束があるんだ」

そう言って、桐生部長はゆっくりと腕を引き、瑞樹ちゃんの手をそっと振り払った。
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