誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「私、あなたみたいな人が嫌いです。」

私は桐生部長の腕を振りほどいた。

でもその手のぬくもりが、まだ腕に残っている。

「でも……」

声が震える。

「自分でも分からないくらいに、あなたに惹かれています。」

それは事実だった。嫌いなはずなのに、目で追ってしまう。声を聞くだけで胸が熱くなる。触れられると、もうダメだった。

「だったら、俺に本気になってくれ。」

部長は一歩、私に近づいた。

「遊びなんかじゃない。本気だって、ずっと言ってるだろ?」

その目が真剣だった。ふざけた雰囲気も、いつもの軽口もない。ただ、私だけを見つめていた。

「他の誰にも見せない顔を、君にだけ見せたい。……俺を、選んでくれないか。」

私は目を伏せたまま、首を横に振った。
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