エンドロールは救いの詩を
次の日。
昨日までの雨は嘘のように青空が輝く晴れの日になった。
時刻は10時。
長めの睡眠をとった後、俺は外をぶらつくコトにした。
道を歩いていると、キュースレーが乗る車のサイレン音が聞こえてきた。
車道を見ると、キュースレーの車が沢山走っている。
「何かあったのか?」
そんな独り言を溢しながら歩いていると、すぐ傍にキュースレーの車が停まっていた。
その車のすぐ傍には一人のキュースレーがスマホを眺めながら立っている。
何処かで見たコトがあるような顔...。
あぁ、この前エリといた時に会った人だったな...と心の中で思っていると、キュースレーは視線を感じたのか俺の方を見た。
「あ、この前の...すみません、今急いでて...」
「なんかあったのか?」
「はい。昨日の雨の影響で、山に遭難者が沢山いて...現場に迎えるキュースレー全員で救助に向かっている所なんです」
「なるほどな」
急いでいる彼女にこれ以上話しかける訳にはいかない。
俺は邪魔になるから、すぐ離れようとしたその時だった。
キュースレーが胸に付けていた無線のスピーカーから声が聞こえてきた。

『S36地点にてキュースレー、ナナの所在が分からなくなった。近くにいる救助要員は捜索してくれ』

俺の心臓が脈打った。
今聞こえてきた名前とその内容...。
キュースレーは今の声を聞き、慌てて無線のマイクを入れる。
「こちらキュースレーのルミ。もう一度名前と場所をお願いします」
ルミと名乗り、改めて内容を確認する。
その回答を聞く為に、俺は耳を澄ます。

『...キュースレーのナナ。S36地点だ』

再び聞こえてきたナナという名前。
「...了解」
ルミは声を震わせながら、そう答えた。
そしてルミは急いで車の運転席に乗り込む。
「待て!俺も連れてってくれ!」
俺はそう言って車に乗り込む。
「部外者を現場に連れて行くわけにはいきません!降りてください!」
「ナナがピンチなんだろ!俺は...」
俺は...なんだ...?
今、俺は何を言おうとした...?
「んん...絶対勝手な行動はしないでくださいね!」
そう言ってルミは車のアクセルを踏んだ。
「さっき言ってたS36って何処だ!?」
「私の左のポケットに入ってるスマホを取ってください」
俺はルミに言われた通りにポケットからスマホを取る。
「右側に電源のボタンがあるので、それを押してください」
スマホの電源を押すと、画面には地図が出てきた。
「電源つけたぞ」
「上の方に検索する所があるので、そこにS36と入れてください。すぐにその地点が表示されます」
俺はスマホにS36と打ち込む。
すると地図の南西に赤い丸が出てきた。
「この赤い丸の所か!?」
「そうです!どの辺りですか?」
「南西の辺りだな。近くに川もある」
「川がある南西の辺りですね...。分かりました。着いたらその辺りに向かいます」
「ああ」
俺はもう一度スマホの地図を見る。
早く、早く、着けと思いながら...。
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