偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー



 書簡を握りしめる手が震えていた。
 月鈴がほほ笑んだ。
 他の男に。

 その光景を想像するだけで、腹の底が焼けるようだった。


(あの目は、俺に向けたものと同じだったか……?)


 否。

 違う。

 違うと思いたい。


(……十五日だけの逢瀬では、足りない)

(俺の知らぬ“月鈴”が、外で微笑んでいる)


 それが、耐え難かった。




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