偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー


「貴方は……陛下の、お側の方ですか?」

 その問いには、頷くことしかできなかった。

 真実を言えば、すべて壊れる。
 けれど嘘をつけば、傷つける。

 ――その狭間で、紫遥は沈黙を選んだ。


 月鈴も、それ以上は問わなかった。
 ただ、その夜は彼のそばに長くいた。

 ふたりの距離が、声よりも近づいた夜だった。




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