偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー




「……そんなふうに言われたら、もう……許せなくなっちゃうじゃないですか」

「……許さなくていい」


 紫遥は、そっと額を彼女の額に重ねた。


「俺は、どれだけ憎まれても構わない。ただ――そなたの隣にいたい」


 その言葉は、熱を孕んでいた。




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