偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー



「……私は、紫遥様を選びます。仮面をつけていても、つけていなくても――私は、“貴方”を見ています」


 その言葉に、紫遥は目を見開いた。
 次の瞬間、彼は仮面のまま月鈴を強く抱きしめた。

 胸に押し寄せる感情。
 欲望も、罪悪感も、すべてを溶かしてしまうような、熱。



「……月鈴。俺は、おまえを……愛している」


 それは、仮面のままでしか言えない告白だった。




< 41 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop