偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー
翌日から、静月宮には奇妙な物音や陰の気配が絶えずさらには、下女の一人が突然泣き出す騒動まで起きた。
「申し訳ありません! 私、他妃様方の命を受けて……十五妃様のお部屋に忍び込もうとして……!」
「誰に言われたの?」
「……申し上げられません……っ!」
月鈴は、顔色を変えなかった。
だが、心の奥底では、何かが“崩れ始めている”と気づいていた。