偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー


 草原の闇夜の中、紫遥は独り囁いた。


「……俺の真の名を、伝える時が来たようだ」


 姉・紫苑の遺志。
 そして失われた人物として封印された自身の身分。

 「紫遥」としての生き様ではなく、かつて“皇帝の弟”として認められた身分を胸に刻む覚悟。




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