偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー




 数日後。
 紫鏡は短期の帰国のため、帝都へ旅立った。

 その背を、月鈴と妃たちが見送る。


「いってらっしゃいませ、紫鏡様」


 月鈴は彼の後ろ姿に、そっと祈るような目を向けていた。

 紫鏡のいない館は静かだったが、月鈴の周囲には変わらず妃たちがいた。



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