偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー

第8話『玲珠の世、花咲く国へ』




「“翠耀国”っていうのはどうだ?」


 紫鏡の提案に、月鈴は首をかしげた。


「響きは素敵です。でも“国”と名乗ってしまえば、帝都との亀裂が深くなりませんか?」


 妃たちもまた集い、思案していた。


「では、いっそ“名前のない旗”として、民会を中心にした地域連合としてはどうだろう?」


 それは国ではなく、“共同体”。
 帝都の制度に従いながらも、実質は自立した政治を持つ。

 そして、それを支えるのは――民と家族だった。



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