偽りの月妃は、皇帝陛下の寵愛を知りません。 ー月下の偽妃と秘密の蜜夜。ー

最終話『玲珠、未来の旗を掲げて』



 翠耀の春風は柔らかく、玲珠は十五歳となった。

 少女から若き女性へと変わる彼女は、母・月鈴と父・紫鏡の背中を見て育った。


「お母さま、私は……」


 玲珠は未来を語る瞳を輝かせる。


「この国を、もっと広げたい。
 争いではなく、対話でつなぎたい」


 妃たちもそれぞれの役割を持ち、国の礎となっていた。

 しかし、帝都は再び動いた。

 玲珠の“独立した翠耀の旗”を許さず、外交圧力をかけてきたのだ。
 

「このままでは、戦は避けられぬかもしれぬ」


 紫鏡は国民の安全を第一に考え、玲珠と月鈴に告げる。


「覚悟を決めてほしい」


 玲珠は民と妃、少女記者団と共に話し合う。


「争いは、誰も幸せにしない。
 でも、私たちの声を消されてはならない」


 彼女は自ら、帝都に赴き、直接対話を申し込む決意を固める。




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