すべての花へそして君へ③
「……うむ。ではハッキリ申し上げよう! それは、わたしの勘だぜい!」
わたしの中に、無駄に溢れんばかりの自信があるからだ。
腰に手を当て、伸ばした親指と人差し指を顎に添えて、キラリンッと決めポーズ。
……勘? 何? ふざけてんの? って。すぐに馬鹿にされるかと思ったけれど。ただ、反応が遅れただけなのか。彼は目を丸くしていただけ。
「……ふむ。やはり納得できなかったか」
「あ、……いや」
「お? 納得できたの?」
「んー」
「どっちなんだい」
「……普通なら、さ」
肩を掴んでいた手がゆっくりと離れ、片方は腰に当てていた手に。もう片方は頬に触れる。
「多分ここで、ぶち切れてるか別れを告げてるかのどっちかだと思うんだけど」
「え。そ、そんなに?」
「でも……なんでかな」
「ん?」
頬を撫でる手がくすぐったい。彼の指が、楽しそうにイタズラしてくる。
「有り得ないよ? 有り得ないのに、筋が通っている気がしてならないし、無駄にスッキリしてるんだよ。ね? 可笑しくない?」
「……」
「普通なら有り得ない。そう言われたら、ふざけてるのって怒ってる」
「ヒナタくんは、信じてくれるの……?」
「いやいや、信じる信じないの話じゃないんだよ」
「え?」
「言ったでしょ。成り立ってるんだよ、数式が」
「……勘なのに?」
「成り立たせるだけのことをしてきたんでしょ。推測だの予想だの勘だの、そう言って今までたくさん解決してきたのは誰だっけ」
「……でも、それは」
それは、みんながわたしに、関わりのある人たちだったからで。
「もし仮にそれを抜いたとしても、それをイコールにさせる説得力は十二分にあるよ。信じがたいけどね」
「ヒナタくん……」
「だから、オレも思うよ。もう大丈夫だって。それは信じて?」
「……うん。うんっ」