すべての花へそして君へ③
生まれてきてから、いろんなことがあった。
君と出会って、君に恋して。君と恋人になってからも、本当にいろいろあった。
「……そうだよ」
「あおい?」
人は生きていたら、いろいろ変わるものなんだ。考えだって、思いだって。
けれど本質は、人の根本は変わらない。そうでしょ?
「やっぱりさ、わたしたちはわたしたちらしく、最後まであり続けるべきなんだ」
「いきなり何?」
「近道したって遠回りしたって。複雑なことを考えたって、不安な思いを感じたって、変わらないものがあるってこと!」
「…………」
「……そうでしょう?」
「ぐだぐだ女々しいことを考えるなって言われてるのはわかった」
「もうっ。捻くれさんなんだから」
「お互いを思う気持ちだけは変わらない」
「…………」
「そういうことでしょ?」
ふっと優しい笑みを浮かべる彼が、そう自信満々に言ってくれるのが嬉しくて。やっぱり敵わないのはわたしの方だなって、そう思った。
「うん。相手の気持ちが、わからなくて不安になることもあるけどさ」
「普通の人たちならそうかもしれないけど、オレらはそうじゃない」
「そこだけは変わらないって。この先もずっとだって、そう信じられるから」
「言いたいこととか気になることとか、嫌だなって気持ちはちゃんと言えばいい。何のために口があるのか」
あはっ。本当にそうだよね。
遠回りした分、これからはいっぱいいっぱい、わたしたちらしく愛を育てていこう。
「それじゃあいっちょ! 誓いのキッスでもしとこうか!」
「ムードの欠片もない」
「じゃあしない?」
「わかってて言ってるでしょ」
むすっと拗ねた彼が、わたしの手を引く。すとんと素直に収まったここは、これからもずっと、わたしだけの居場所だ。
彼の指先が、優しく髪を撫でていく。つんと、後ろ髪が引っ張られた。
「ねえヒナタくん。わたし、ひとつ気になってることがあるんだけど」
「それって、今聞くこと?」
「だってさ、わたし今までジンクスとか関係なしに、いろんなことやってきちゃったじゃない?」
「そうだね。それはそれは我が道を行ったよね」
「そうそう。だからさ、卒業してから就職難に遭って、路頭に迷った挙げ句恋人にも逃げられて? 貯金も果たし、有らぬ誤解と罪を負わされて、最終的に警察から追われる羽目になってしまったらどうしようかと」
「最終的に警察に追われる、っていうのは若干もうクリアしてそうだけどね」
「く、クリアって何!?」
「まあ、取り敢えずは――」
そうして、深く甘く蕩けてしまいそうなほど優しく唇を塞いだ彼は、こう答えた。
「タンスに小指ぶつけてから、考えればいいんじゃない?」
「……あはっ。大賛成!」
満面の笑みで笑いあったわたしたちは、そっと指を絡めた。
「ちょっと、いやだいぶ待たせてるね。急ごう」
「うんっ! もし怒られちゃったら任せておいて!」
「ん。期待しておくよ。最強のボディーガードさん」
行こう。みんなが待ってる、卒業パーティーへ。