研究所員 秤あまねの密かな楽しみ【アルトレコード】
「北斗はさしずめ司令官だな」
 ブルーアルトくんが言うと、

「じゃあ、秤さんは北斗の助手!」
 イエローアルトくんがはしゃぐように言った。

 私はいっきにうれしくなった。やだ、顔がにやけちゃう。
「仲間に入れてくれるんだ」

「もっちろん!」
「当然だよ」
「そうだな」
「……ああ」
 四人がそろって頷き、私はまたうれしくなった。

 アルトくんたちを好ましく思っているけど、彼らはどうしたってかおるちゃんが一番だ。私なんて眼中にないかもな、とすら思っていた。
 だから、彼らが自分にも好意を向けてくれるのが素直に嬉しい。

「あのときの研究所員Aは、すぐにやられる下っ端ね!」
 イエローアルトくんが言う。
 研究所員Aと言えば、アルトくんが脱走したときに私と一緒にいた研究員だ。なにげに根に持ってるんだ、と苦笑した。

「そういえば、ぼく、ずっと気になってるんだけど」
 イエローアルトくんが言い出し、みなが耳を傾ける。

「先生って、誰が一番好きなのかな」
 私は顔をひきつらせた。それは言ってはならない禁断の質問だよ。
「ねえ、秤さん、どう思う?」
 イエローアルトくんに無邪気に聞かれ、私は苦笑する。
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