ベガの祈り【アルトレコード】
「地球へようこそ!」
 黄色の目を笑みに細め、アルトが言う。
「……んだよ、それじゃ異星人を歓迎してるみたいじゃねえかよ」
 赤い髪のアルトがつっこむ。

「彼は地球生まれだからな。おかえり、というべきだろう」
「もう、みんなして!」
 アルトはかわいいく頬をふくらまし、青い髪のアルトを見上げる。

「これはいったい……」
「歓迎会です。ベガさんの」
 かけられた声はかおるのものだ。
 懐かしい声に似ていて、ベガの心がぎゅっとしめつけられる。その笑顔もまた、先生の面影があった。

「僕の……どうして」
 排斥されるならわかる。だが、どうして彼女に歓迎されるのだろう。

「だって、アルトたちのお兄さんで、北斗さんのお兄さんなんですから」
 なんでもないことのように言う彼女に、ベガは驚愕し、思わず北斗を見る。

「……そういう人なんですよ、彼女は。俺達のよく知る先生みたいに」
 北斗の目が懐かしそうに細まる。

 ああ。
 ベガの胸がまたしめつけられる。

 ここでは彼女の思い出を共有できる。衛星にひとりでいたときと違って。静寂しかなくて、ただ広がる宇宙と青い地球しか見えないあの場所と違って。
 アルトが来てからは孤独はやわらいだが、一方的に思い出を語るのみだった。だが、ここでは語りあう相手がいる……。
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